「創造的な人工知能」開発日誌

創造性を持った人工知能と、そのビジネス応用など。未来の人工知能についても考察。

美容師の仕事は、創造的な人工知能にも可能なのか

いつも髪の毛を切ってもらう美容師さんと、たまにヘアカットは機械に代替可能か、という話になります。

 

単に短くカットするだけなら比較的簡単そうで少なくとも創造性は不要ですが、そこそこ良いお値段がするようなオシャレな美容室のヘアカットはかなり創造性を要する仕事のようです。

 

一流の美容師さんは、美しく見える髪型のコンサルティングサービスなんですね。お客さんの髪質、頭の形、好み、流行、これまでどんな髪型にしてその反応はどうだったか、といった様々なファクターを考慮したうえで、そのお客さんに最もあう髪型をその場で決め、提案します。髪型は、おそらく無数にあるパターンを微調整したもので、ゼロから何かを創るということではないけれど、あらかじめスタイルをすべてリストアプしておくということは不可能です。仮に表面的にはまったく同じスタイルであっても、頭の形や髪質で切り方を変える必要があるそうで、まったく同じということは、基本的にありえないようです。

 

(写真がズラッとならんでいるヘアカタログから、お客さんが好みの髪型を選ぶといった仕組みは、チェーン店などで何度か遭遇したことがありますが、たいていイメージとは異なる髪型になりました。私の髪質や頭の形が合っていなかったんでしょう)

 

これは、最適な髪型や切り方をイメージアップする創造性と、そのイメージを実現する技術がかみ合ってはじめて実現するたぐいの仕事です。ひとつひとつの要素技術が、現時点だとけっこう難しいうえに、イノベーションを起こす経済的なメリットもさほど無さそうなので、しばらくは機械が「一流の(ここが大事)」ヘアカットを代替することはなさそうです。単純に短くします(スポーツ刈りのように)であれば、機械屋さんが本気になればできそうですけど。

 

似合うヘアスタイルを決める、というのは、現時点の第一歩としては修士の学生の研究くらいにちょうど良いきがします。似合うとはなにか?どんな要因を考慮すべきか?性格などをどのていど考慮すべきか?髪型、顔、頭の形を、データとしてどう扱うか?簡単そうで、データ駆動の創造的人工知能の研究の基本が詰まっているテーマに思えます。

 

イメージしたヘアスタイルの通りにカットするというのは、機械屋さんとのコラボになると思うんですが、データ駆動のアプローチだと、いわゆる認知発達ロボティクスのアイデアを参照することになるのでしょう。マネキンの髪の毛を何度も切って、その結果をフィードバック(学習)しながら、成長していくロボットです。ただ、人の頭の形は髪質は様々ですから、マネキンの頭や髪質を様々に変えながら動かす必要があります。手間のかかる作業です。

 

こう考えてくると、一流の美容師の仕事は、そう簡単には創造的な人工知能に代替できないと思われます。その最大の理由は「お金」です。

 

やってできないことはない研究テーマだとは思うんですね。だいたいの方法論は思いつきますから。ただ、けっこうなお金と時間がかかる研究で、その結果が美容師の機械化だけということではなかなか資金が取れません。ちょっとぶっ飛んだ美容業界の大物で、お金まわりが良い人と組めばできるかもしれませんね。