「創造的な人工知能」開発日誌

創造性を持った人工知能と、そのビジネス応用など。未来の人工知能についても考察。

人工知能に感情は必要か?自由意志と感情の意外な関係

ドラえもんに自由意志は不可欠だ

ドラえもん鉄腕アトムのような、人間らしい賢いロボットや人工知能を実現するためには、少なくとも彼らに自由意志のようなものを持たせる必要があると思われます。自由意志というのは、自らの考えでどんな行動をするか決めるということです。

ドラえもんであれば、自分の意思でのび太ひみつ道具を出してあげ、自分が食べたいからどら焼きを食べ、自分が眠りたいから眠る、ということになります。もし、ラジコンカーのように他の誰かがドラえもんをリモートコントロールしていたら、ドラえもんは自由意志が無いということになります。

もし、のび太を助けるためにひみつ道具を出してあげたり、どら焼きを美味しそうに食べたりすることが、実は自分の意思ではなく単なるリモートコントロールだったとしたら、ドラえもんの存在は無味乾燥なものになってしまうでしょう。

ドラえもんがラジコンのようにリモートコントロールされていたら、のび太ドラえもんに友情を感じることが無いはずです。ひみつ道具を出してもらっても、操っている誰かに感謝することはあっても、ドラえもんに感謝したり友情を感じることは無いでしょう。

 

感情が自由意志を支えている?

そんな、ドラえもんのような賢くて親しみやすい人工知能に不可欠な自由意志ですが、これは私の考えですが、人間が自由意志を持つために不可欠なのが「感情」だと考えています。

人が自分の行動を決めるときに必ず関与しているのが感情です。感情を司る脳の領野を損傷したため、感情を失ってしまった人のことが(確か)火星の人類学者に書いてあります。(「脳の中の幽霊」だったかも・・・)

 

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

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脳のなかの幽霊 (角川文庫)

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感情をなくすと、意思決定ができなくなるそうです。どのような行動が理にかなっているかの判断はできているそうなのですが、実際に行動に移すことが困難なのだそうです。

ここから、感情は人が行動するように背中を押していると考えられそうです。「(お腹がすいた)不快だ!」という感情は何かを食べるという行動に、「(困っている人がいる)悲しい」という感情はその人を助ける行動を引き起こします。

 

もう一歩、考えを進めてみましょう。もし行動を決めるのが感情でなければどうなってしまうか?

まず理性だけでは足りません。理性的な判断は時間がかかるのが特徴です。自動車を運転していて急に子供が飛び出してきた、そんな時に理性的な判断をしている余裕はありません。理性的な判断は、「自分でよく考えて決めた」という満足感をもたらすことはありますが、立ち上がる、歩く、前から来た人を避けるといった日々の何気ない行動を決めるためにはあまりに回りくどいのです。

この点、感情に基づく判断は素早い判断に向いています。自動車を運転していて急に子供が飛び出してきたら、「怖い!」と感じるのと同時にブレーキを踏んでいます。冷や汗タラタラ、心臓バクバク、手は恐怖で小刻みに震えているかもしれません。

実は、この感情よりも、もっと手っ取り早い方法があります。それはあなたの意思とは無関係に脳があなたをコントロールしてしまうことです。「子供が飛び出した、危険だ」「お腹がすいた、不快だ」なんて感情は無くても、脳が勝手に「ブレーキを踏む」「おやつに手を伸ばす」ということを、あなたの意思とは無関係にやってしまえばいいわけです。

しかし現実には脳が私達を勝手に操っているようには感じられません。不愉快だからやめる、楽しいから続ける。私たちはそんな理由があって自分で行動を決めているように感じられます。(たとえ錯覚でも)

いちいち理性で考える時間が無くても、感情とともに行動を起こせば「自分で決めた」という感覚、つまり自由意志で行動したという感じを持ったまま急な行動をすることができるのです。そして、感情を失った症例が示す通り、感情無くして行動は決められない、理性だけでは行動は決まらないのです。

 

人工知能やロボットに感情は不可欠か?

人間にとって、感情は自由意志を保ったまま日々の行動をこなしていくことに役立っていることがわかりました。人工知能やロボットにもこれは当てはまるでしょうか。

もし、ロボットが理性的な判断を、人間よりもはるかに高速に行えるのであれば、理性的な判断に委ねるのはひとつの方向性としてありえます。この場合は感情がなくても自分の意思で行動を決めていることになります。(そんなロボットに友情を感じるかはともかく)

しかし、例えば熱いお湯に手を入れてしまった時に、いちいち理性に基づいた判断をするべきでしょうか?

真に人間らしい、人間が友情を感じられるようなロボットや人工知能であれば、彼らは感情に基づき、自分自身の意思で行動を決めていくのではないでしょうか。