読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「創造的な人工知能」開発日誌

創造性を持った人工知能と、そのビジネス応用など。未来の人工知能についても考察。

しらみつぶしが上手な人工知能は直観を持っているのか

最近の人工知能の飛躍的発展を支える技術のひとつとして、探索の効率化があげられます。

 

囲碁で次の手を考える際に、全ての手をまんべんなく考えていては、いくら高速なコンピューターでも持ち時間のあいだに答えを見つけることができません。そこで、まんべんなく考えるのではなくて、良い手がありそうなところに目星をつけて良い手を探します。具体的には5年ほど前に「モンテカルロ木探索」という手法が導入がブレークスルーだったと言われています。

 

答えを探すために、まんべんなくしらみつぶしをしていくのではなく、しらみつぶしに近いのだけど、まんべんなくやるよりは上手にしらみつぶしをすることができるようになったということです。

 

また、オートメイテッドサイエンス(自動科学)と呼ばれる研究領域でも似たようなことが起きています。物理や化学で新しい法則を発見する際に、法則の候補を大量に生成しておいて、そこから上手にしらみつぶしをして法則を自動で見つけることができるようになってきています。これはNatureに最近載った論文のインパクトが大変大きく、機械学習の分野でひとつのサブカテゴリを形成していくものと考えられます。

 

これら、囲碁の手や科学の法則を発見することは、長らく(天才的な)人間の思考だけが可能にするものでした。才能に恵まれ、しかも努力で専門性を磨いてきた人たちが、粘り強く考えぬいたうえで最終的には直観で答えをつかまえるというのが典型的なパターンです。

 

一見すると、この人間の思考パターンと「上手にしらみつぶしをする」人工知能がやっていることは、直観の有無という点で異なっているように思えます。将棋の棋士は一見して良い手と悪い手を直観的に見抜けるそうです。悪い手はなんとなく気持ちが悪い手なんだそうです。人工知能にはこのなんとなくはありません。きちんと計算して答えを出します。

 

はたして、人間の直観も実は無意識に脳が複雑な計算をしているのに、私たちはそれに気づかないで「直観で答えを出せた」と思い込んでいるだけなのか、今の人工知能ができないやり方で本当に一足飛びに答えに至っているのか。

人工知能が斬新な絵を描いたり、映画の脚本を考えたり、iPhoneのような革新的な新商品のアイデアを考えることができるようになるための重要なカギが隠れていそうです。