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「創造的な人工知能」開発日誌

創造性を持った人工知能と、そのビジネス応用など。未来の人工知能についても考察。

「創造性の数理モデル」のパッケージングが完了

マーケティングには4Pとか5Pと呼ばれる有名なフレームワークがある。商品やサービスを新しく考える時には、商品そのもの(Product)だけでなく価格(Price)や販路(Place)もよく考えないとね、というチェックリストみたいなもんである。そのなかのひとつがパッケージ(Package)である。

(話がそれるがアップル製品のパッケージって素敵ですよね。日本人がデザインしたんですよね、たしか)

で、研究もパッケージングがとても大事だと思っている。例えば「創造性の数理モデル」を研究する!とか叫んでもあまり相手にされず研究費の獲得は難しいが、「子供の創造性をはぐくむためのデータ駆動型研究」なんて具合にテーマの外見を設定できれば、とたんに採択率が高くなる(と思う)。

「創造性の数理モデル」は数カ月前に理論を着想して以来、ようやく実装に着手できたのだが、このパッケージにあたるものが見えていなかったのが課題だった。これでは非専門家に説明しても響かない。

こんなときに有効なのが研究助成の申請書を無理やりにでも書き始めることだ。なかでも締切が迫っている研究助成が望ましい。少なくとも私の脳は猛烈に怠惰だから、研究費の人参をぶら下げないと走らないのである。

というわけで、今回もこの方法で外部に説明するための良い見せ方、つまりは研究のパッケージを見つけることができた。

良い習慣は日記にして記録をつけておくと定着するという心理実験があった記憶があるので、日記を書いた次第だが、うろ覚えなのであんまり意味ないかもしれない。

研究資金の獲得や論文執筆に追われた2ヶ月間でした

この2ヶ月は、研究提案や論文執筆に追われていました。文書を大量に書き、プレゼンを何度もしました。

たった2ヶ月とはいえ、試したいアイデアはあるのに研究が停滞してしまうのは歯がゆくストレスフルです。なんとか研究の時間をひねり出そうを思いましたが今回は無理でした。

そして!やっと!今日から研究を本格的に再開できます!嬉しい!

早速お気に入りのカフェに篭ってアイデアを具現化するプログラムの設計をしています。プログラムが動いて良い結果が出る瞬間を想像するとドキドキします。至福の時間です・・・。

それにしても、ひとつ前のエントリが「創造性の数理モデルを見つけた!」となっているのが感慨深い・・・。2ヶ月たっても面白さが持続していてよかった。単なる思いつきでなかったんだね・・・。

「創造性とは何か?」に厳密に答える数理モデルにたどり着いた(論文化予定)

ついに、「創造性とは何か?」に厳密に答える数理モデルにたどり着いた。

 

マッチ箱とロウソクの問題は創造的か?

キュビズムは創造的か?

ジグソーパズルを解くのは創造的か?

 

このモデルを用いれば、これに答えが出せるのである。はやく細かいところをツメて論文化したいと思う。

美容師の仕事は、創造的な人工知能にも可能なのか

いつも髪の毛を切ってもらう美容師さんと、たまにヘアカットは機械に代替可能か、という話になります。

 

単に短くカットするだけなら比較的簡単そうで少なくとも創造性は不要ですが、そこそこ良いお値段がするようなオシャレな美容室のヘアカットはかなり創造性を要する仕事のようです。

 

一流の美容師さんは、美しく見える髪型のコンサルティングサービスなんですね。お客さんの髪質、頭の形、好み、流行、これまでどんな髪型にしてその反応はどうだったか、といった様々なファクターを考慮したうえで、そのお客さんに最もあう髪型をその場で決め、提案します。髪型は、おそらく無数にあるパターンを微調整したもので、ゼロから何かを創るということではないけれど、あらかじめスタイルをすべてリストアプしておくということは不可能です。仮に表面的にはまったく同じスタイルであっても、頭の形や髪質で切り方を変える必要があるそうで、まったく同じということは、基本的にありえないようです。

 

(写真がズラッとならんでいるヘアカタログから、お客さんが好みの髪型を選ぶといった仕組みは、チェーン店などで何度か遭遇したことがありますが、たいていイメージとは異なる髪型になりました。私の髪質や頭の形が合っていなかったんでしょう)

 

これは、最適な髪型や切り方をイメージアップする創造性と、そのイメージを実現する技術がかみ合ってはじめて実現するたぐいの仕事です。ひとつひとつの要素技術が、現時点だとけっこう難しいうえに、イノベーションを起こす経済的なメリットもさほど無さそうなので、しばらくは機械が「一流の(ここが大事)」ヘアカットを代替することはなさそうです。単純に短くします(スポーツ刈りのように)であれば、機械屋さんが本気になればできそうですけど。

 

似合うヘアスタイルを決める、というのは、現時点の第一歩としては修士の学生の研究くらいにちょうど良いきがします。似合うとはなにか?どんな要因を考慮すべきか?性格などをどのていど考慮すべきか?髪型、顔、頭の形を、データとしてどう扱うか?簡単そうで、データ駆動の創造的人工知能の研究の基本が詰まっているテーマに思えます。

 

イメージしたヘアスタイルの通りにカットするというのは、機械屋さんとのコラボになると思うんですが、データ駆動のアプローチだと、いわゆる認知発達ロボティクスのアイデアを参照することになるのでしょう。マネキンの髪の毛を何度も切って、その結果をフィードバック(学習)しながら、成長していくロボットです。ただ、人の頭の形は髪質は様々ですから、マネキンの頭や髪質を様々に変えながら動かす必要があります。手間のかかる作業です。

 

こう考えてくると、一流の美容師の仕事は、そう簡単には創造的な人工知能に代替できないと思われます。その最大の理由は「お金」です。

 

やってできないことはない研究テーマだとは思うんですね。だいたいの方法論は思いつきますから。ただ、けっこうなお金と時間がかかる研究で、その結果が美容師の機械化だけということではなかなか資金が取れません。ちょっとぶっ飛んだ美容業界の大物で、お金まわりが良い人と組めばできるかもしれませんね。

人工知能が創造性を手にし、ヒトはオペレーションに喜びを見いだす

前回に引き続き、ビジネスへの創造性をもった人工知能の応用を考えてみます。

 

機械・人工知能は、ちょっとした変化がある細々としたことを臨機応変にこなしていくという作業は苦手です。お掃除ロボットも、ちょっと段差があるとNGですし、システムエンジニアのようにお客さんの細かい(往々にして理不尽で感情的な笑)要件変更に臨機応変に対応するといったことは、人工知能にとってかなり難しい。

逆に、枠組みがカチッと与えられると人工知能はパワフルです。例えば、囲碁では、もう人間のチャンピオンにも勝ってしまうレベルなわけですが、囲碁は(とても探索空間は広いけれど)ルールはカチッと決まっていますね。

ですから、カチッと枠組みが決まった仕事では人工知能は人間を凌駕するし、臨機応変に細々とした対応が必要な仕事は、当分のあいだは人工知能には無理です。

 

ですから、「人間に残る仕事はオペレーションだ」というのが正しいと思いませんか。

経営もそうです。人工知能にとっては、スターバックスで様々なお客さんに臨機応変に対応するほうが難しい。数字とにらめっこしながら経営戦略を立てるほうが簡単です。

創造的な仕事は人間のほうが得意、という主張を目にすることがありますが、本当にそうでしょうか?すでにアート、つまり絵画や音楽の世界では創造性をもつ人工知能が活躍しはじめています。

また、私が先日発表した研究では、商品のコンセプトを創ることができました。私の研究チームでは、事業コンセプトの立案という経営の核ともいえる役割を、人工知能が発揮しはじめています。

機械学習は創造性を可能にするか

先週末に、機械学習で創造性を可能にする手法の研究発表をしてきました。創造性と機械学習という組み合わせが良かったのか、多くの方に興味を持ってもらえたようです。

 

昨日は、学生向けに機械学習の初歩的な講義をしたのですが、そこでこんな質問をしてみました。「機械学習がとても多くの応用で成功しているよね、Siri、自動運転、AlphaGoとか。じゃあ、創造性って機械学習で実現できると思う?」

 

だいたい20人弱くらい学生がいたと思うのですが、「できる」に手を挙げたのは僅かに1人でした。これにはビックリ!もう少し割れると思っていました。

 

できないと思った学生に理由を聞くと「過去の絵画を学習しても新しい絵は書けないのではないか。模倣になってしまうのでは。」ということでした。これ、言われてみれば当たり前な答えではあるんですけど、実に的確にポイントを突いていると思います。関心してしまいました。

 

これは創造性と機械学習の議論のスタートポイントとしてはとてもよい観点で、ここから「新しさとは何?」「過去の要素の組み合わせは新しくないの?」「過去の要素ってなに?」といった思索を深めていくことが創造性と機械学習の研究につながっていくと思います。

 

やはりBodenが、創造性とは探索、組み合わせ、変形(ほんとは変形とはちょっと違うんだけど)と言い切ったことは、創造性研究を牽引する力強い言明だったんだなあと思います。

機械学習は人工知能の基盤技術であり続けるか

どうやら「人工知能」ブームは単なるブームでは終わらず、人工知能関連技術は複雑な問題を解決する方法論として定着していきそうです。自動運転、受給予測、自動応答など様々な場面で、現在の人工知能技術を基礎とした技術が用いられていきそうです。

 

その人工知能の基盤技術が機械学習なわけですが、今後も長きにわたって重要な技術であり続けるでしょうか?真空管のように、新たな技術に置き換えられることはないのでしょうか。

 

まず、機械学習というのはアンブレラタームで、様々な手法が機械学習に含まれます。ディープラーニングサポートベクターマシン、Latent Dirichlet Allocation、簡単なところだとロジスティック回帰まで機械学習に含める人もいます。(厳密にはLDAやロジスティック回帰は統計モデルだろ!と叱られそうですが)

 

では、機械学習とは何かというと、「データから振る舞いを自動で獲得するための手法」です。囲碁のAlphaGoは、過去の対局データから打つべき手を自動で獲得することで人間を超えました。囲碁の局面のひとつひとつについて、手動で打つ手を決める(プログラムする)ようでは、プロの棋士には及びません。自動運転も同じです。周囲の状況をもとにアクセルを踏むハンドルを切るといった振る舞いを、データから学習して獲得しています。

 

現在の人工知能ブームを牽引している機械学習研究の燦然と輝く成果は、

  • 過去のデータが想像以上のポテンシャルを持つことを明らかにした。過去のデータから情報をうまく引き出すことで、囲碁でトッププロに勝つことや自動運転が可能になることがわかった。(多くの研究者は、「データさえあれば、企業の経営だって可能になる」と考えていると思われる)

ということです。

 

この、データから(つまり経験から)振る舞いを獲得していくというのは、実世界の複雑な環境を乗り切るためには不可欠な方法論だと思います。世界の本質は常に変化し続けるということであり、その環境で上手に生きていくというのは臨機応変に対応することです。(適応したものが生き延びる)

 

ですから、今後、ディープラーニングをはじめとする現在の到達点を大幅に超える手法が出てきても、それは機械学習の新しい手法が出てきただけであって、依然として機械学習の研究は続いていくわけです。